ついこの間、「the Windows Insider Mixer Broadcast」という MIXERを利用した Insiders向けのネット放送があり、その中で Joe Belfiore （ジョー・ベルフィオーレ）さんが話したことがちょっとした話題になっているようです。
元々 Windows Central さんの記事として出てきて引用されているページも多いようだったので、リンクもそちらに貼っておきました。 英語の全文が載っています（MIXERでは録画で実際の発言も聞けます）。
ベルフィオーリさんの言ったこと
ここで重要そうなキーワードについてサラっとまとめると
The Windows 10 on ARM effort is about enabling the PC experience on devices that are built on ARM so that they’re connected all the time and have great battery life.
Windows 10 on ARM は、PC・タブレット向けのバッテリーのロングライフ化を可能にするためのものであって、Phone向けのものではない。 （LTE も通話のためではなく、 Always Connected ：ネットにいつでもつながっている状態 のためのあるようです。これは直接は言ってないことだけど）
For phone-like experiences on ARM, we have Windows 10 Mobile.
Phone向けのエクスペリエンスのためには Windows 10 Mobileがある。
というあたりでしょうか。 後半では 「PC向けの OS と ARM CPU の関係」、「10 Mobile (Phone) 向け OS と ARM CPU の関係」は挙動がまったく違う という話もされています。
かなり重要なことを言っている部分だと思うのですが、ここらへんについてはかなり込み入った話っぽいのでよく理解してません、が分かる範囲で。
ARM上の OS等のソフトは 個別に SoC（ハード）と対話が必要で、例えば ARM向けのプログラムを書いた場合に、１つの SoC上で動くプログラムが他の SoC上では普通に動いてくれないことが多いということです。
フルの Windows自体が巨大なプログラムなので、これを Phone向けの OSのように各々の SoCで同じように動くようにプログラムを書き換えることがとても煩雑で、かける労力に見合わないということのようです。
Surface Phone との関係
そして Surface Phone。 こちらは明らかに phone-like experience の製品ラインと言っていいと思います。 ということで、Surface Phone は Windows 10 on ARMとは別モノとして開発が進んでいるのかもしれませんね。
以前、誤って公開された “CShell” というのがありますが、あれは Phone向けと思われるので、今後 Windows 10 Mobile OS の後継となるモノが出てきて、それを利用した新しい Phone ハードウェアが出てくる（それが Surface Phone）かもしれません。
個人的には Surface Phone が Windows 10 on ARM 製品として登場すると思っていたので、これが違う（と思われる）ところが一番の驚きでした。
Windows 10 Mobile はどうなるのか？
以上のことをあらためて噛みしめてみると、Microsoft としては Windows 10 Mobile をあきらめていないという見方もできます。 しかし、Fall Creators Update が最終段階に入ったという記事もそろそろ出始めている今の段階で、Windows 10 Mobile向けの Insider Preview の内容はパっとしません（予定されていた新機能の追加はキャンセルされたものも多く、今はバグフィックスのみの状況）。
Windows 10 Mobile は、現状を知っている人なら分かると思いますが、新製品（ハード）もほぼ登場しなくなりました。 これは最近の SoCに Windows 10 Mobileが対応していないため、ハードとして新機種を出したとしても型落ちの SoCしか利用できないため、という理由もありそうです。
また、”CShell” あたりで話題になった「新しいソフト（新しい OS ?!）を載せた新しいハード」が出たとしても、Windows 10 Mobile がさんざん苦しめられている 「アプリが（少）ない状況」は時間をかけないと解消されないというジレンマもあります。 これを解消するため（x86の莫大なアプリ資産が使えるとは思ったので）の Windows 10 on ARMによる Phoneモバイル製品なのかと思っていたので、今後の Phoneモバイル向け製品もまた１からやり直しなんだろうか？ と勝手に心配しています。
とにかく今、Microsoftさんが Phoneについて（かん口令が敷かれているのかと思うくらい）何も語ってくれないので分かりませんが、これだけ黙り続けて急にそのデバイス環境が良くなるとは考えづらです。 よって、Windows 10 Mobile は OSとして静かにフェードアウトしてくと考えるのが普通かと思われます。
たぶん多くの Windows 10 Mobileユーザも薄々気づいているし、気持ちは Surface Phone や Windows 10 on ARM に行っているようにも思われます（既に他社 OS に行っている人も少なからず居るとは思います。 あ、自分も…）。
まとめ
話が長くなりましたが、最後に簡単にまとめ
・2017年末に出る Windows 10 on ARM は Windows PC・タブレットの ロングライフバッテリー製品（まずは Snapdragon 835で動く）
・Phone向けには Windows 10 Mobileがある
・Surface Phone は Windows 10 on ARM製品とは別の話
といったところです。 カンタンにまとまっちゃったな、おい！
あとは、Surface Phone がどんな OS を搭載してくるのか？というところを知りたいものですね （たぶん 「Windows 10 Mobile ではない」 と思ってます）。
PS そういえば、Mixerでの Insider Live で自己紹介してたのを聞いて初めて知ったけど、ジョー・ベルフィオーリさんだった…（ベルフィオー「レ」じゃない！ ずっと間違ってました、ごめんなさい！）。
リンク
・Microsoft confirms full Windows 10 on ARM won’t be coming to existing phones – Windows Central
・Insider Live on MIXER (録画が見られます)
