ずっと沈黙を続けていた Windows 10 Mobile の今後について、Joe Belfiore 氏がツイートで Windows 10 Mobile の 終了宣言をしたようです。
Of course we'll continue to support the platform.. bug fixes, security updates, etc. But building new features/hw aren't the focus. 😟 https://t.co/0CH9TZdIFu
— Joe Belfiore (@joebelfiore) 2017年10月8日
今後はサポートのみになる、というツイート。 新機能や新しいハードウェアを出すことは無い、ということなので、欲しい人は在庫があるうちに Windows Phone を買っておいたほうがよさそうです。
(2/2) As an individual end-user, I switched platforms for the app/hw diversity. We will support those users too! Choose what's best 4 u. https://t.co/LKQBL3w7gA
— Joe Belfiore (@joebelfiore) 2017年10月8日
これはベルフィオーリ氏が私用のスマホを Windows 10 Mobile から他のプラットフォームに変更した(The Vergeによると、ゲイツ氏と同じく Androidへの変更とのこと)というツイート。 アプリとハードの多様性のための変更とのこと。
実は2015年 6月には『終わりは始まっていた』
これはあくまで、今から振り返ればの話。 スマートフォンの各プラットフォーム・シェアはいろいろな機関が調査・発表してくれています。 そして、そのシェア推移を見ていると、Windows Phone の場合「2015年 4-6月期」を頂点として、その後は急降下からの確実な右肩下がりが現在まで続いています。
ここのグラフを見ると2014年Q3が頂点でした。
では、なぜ2015年6月が「終わりの始まり」だと思ったかというと、「Joe Belfioreさんが長期休暇を計画し始めたタイミング」 だったりするんです。 だから何?って話かもしれませんが、もともと Windows Phone といえばベルフィオーリさんだったんですよ。 で、ここで 11月には Windows Phone 8.1 OS から Windows 10 Mobile に大規模な OS のバージョンアップ! なのにナゼこのタイミングで Microsoft社からいなくなっちゃう(旅に出るだけだけど)の?と疑問に思っていたわけです。 推測ですが、この時点で上から「Windows Phone はしずかにフェードアウトさせていく」という方針が出たのだと思います。
この後はもう坂道を転げ落ちるように売り上げ・シェアともに落ちていく Windows Phone。 当初 8.1 OS から 10 Mobile に移行できると思われていた既存端末の一部が移行できない(今から思えばこれもフェードアウトの一環?!)など、いろんな面で混乱もあったりしつつ、もともと Windows Phone が強いとされていた ローエンド~ミドルレンジ端末も力を入れなくなりました。
そして旅行を終えて Microsoftに帰ってきたベルフィオーリさんはなぜか Microsoft Edge 担当になります。
符合するいろいろなこと
『2015年の6月、終わりは始まっていた 説』に則って考えてみると意外といろんなことが符合します。 まず、2015年6月、日本では「MADOSMA Q501」などが順次発売されて、ちょっとした Windows Phone ブーム?になりました。 しかし、当の Microsoftはこの時にもあまりマウスさんや他の参入ハードウェアメーカーに対して協力的な姿勢を示さなかったように思います(MSのサイトでも紹介されなかったりとか)。
これも「すでにMS内部ではフェードアウトが決定していた」という観点からすると納得がいくように思います。
2015年末、2016年頭に発売された最後のLumiaシリーズ、Lumia 950 と Lumia 650. この2機種もどこか今までとは雰囲気が違いました。 Lumia 950 はハイエンド機でありながらミドルレンジの Lumia 640のようなプラスティックボディ。 Lumia 650 はミドルレンジ機でありながらローエンドのSoCである Snapdragon 210 (SensorCoreが使えないジャン!)とか、すでに兆候はあったように思います。
海外勢では HP は新しい収益の柱を探す中の1つとして HP Elite X3 を発売。 Windows 10 Mobile 自体がしっかりと続いていればこの後にも ミドルレンジの Elite や 新規のデスクドックなども販売を予定していたようです。 しかしこれもベルフィオーリさんの発言の少し前に Microsoftから Windows 10 Mobile の終了を HP幹部は 言い渡されていた ために中止したようです。
そして「さすがにそろそろ末期かな?」と自分でも思ったのは、Windows 10 Mobile が最近の SoC に対応しなくなったこと。 これは明らかに端末の息の根を止めにかかったな、とは思いました。 だって今から新端末を出しても SoC は古いままなんですよ、買う人、いるか、少しは(?)。
それにしても、いろいろチグハグだった W10M
Windows 10 Mobile では、OneCoreの名のもとに OS の改良(?)が行われ、今後は UWP も拡大(?)なんて言われていました。 自分も Insider Previewに参加したりして、少しはフィードバックをしていきました。 しかし、今となってみればこの全てがほぼ意味のない状況に。 まあ W10M OS が無くなることで、真の OneCore に一歩近づいたのかもしれません(皮肉)。 Universal Windows Platform も どこがユニバーサルになっていくのか心配です。 Windows Phone 8.1 OS のころが懐かしいくらい、Windows 10 Mobile で Microsoft がやってきたことはどれもチグハグです。
本当はスタートから転んでいた
思い返せば、サティア・ナデラさんは一度も Windows Phone についてまともに言及したことが無かったように思います。 最近の著書『Hit Refresh』では「自分は NOKIAの買収には反対の立場だった」、「iOS, Android 2強があるのに、第3勢力が必要な意味が分からない」ということも書かれているようです。 企業のトップが懐疑的なサービスや製品が売れないのは自然なことだとも思えます。
確か来日した折、日本の記者から「Lumiaは日本でも出ますか?」と聞かれたときに笑ってごまかしてたので、あの時すでに Windows Phoneには思いは無かったんでしょうね。 あのときは Surface の宣伝に来てただけだから仕方ない…?
ナデラさんの体制がはじまった時からすでに Windows Phone は転んでいたのかもしれません。
これから先、どうなるのか?
「Surface Phone」 や 「Andromeda」 というキーワードを頼りに、「まだこれから先もある」と考えることもできます。 が、なぜ Windows 10 Mobile がダメだったかという疑問のうちの答えの1つは「アプリが無い!」です。 Surface Phone が出てきてもこの状況はまったく変わりません。 そして、Andromedaは一部の記事によると業務用の組み込みOSのことではないか?と言われているので、既存のスマートフォンとは別の話のようでもあります。
となるとやはり Microsoft 本来の立ち位置からしても、今後はソフトウェアを iOS や Android に提供していくということくらいしかなさそうです。 まったく新しいジャンルの全く新しいデバイスを出して、既存の物を塗り替える製品がいつか出てくるといいですね。
グチのオマケ
Windows 10 Mobile を取り巻く環境が苦しくなってきたあたりで、自分としては本当の情勢を知りたいだけでいろいろ調べてはブログやツイートをしてきたつもりです。 そんな中でツイッター上では いきなり凄まれたり 裏切者扱いされたりなんてこともあったなぁ。 本当に Windows 10 Mobile、やってくれるゼ、と思っちゃいます、トホホ。
あの人たち、元気かな? とか言うとまた皮肉っぽくなっちゃうか。
ございました。