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読書録

『ファーウェイ 冬は必ずやってくる』読了

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最強の未公開企業 ファーウェイ: 冬は必ずやってくる
 本の正式なタイトルは『最強の未公開企業 ファーウェイ : 冬は必ずやってくる』

 全部読み終えると、同じような話が繰り返される部分もあったりして「あれ?」と思う部分もありつつ、それをやりすごすと「読んでよかった」と思える内容になってました。 たぶん、ファーウェイ(華為)に対する印象が変わると思います。

読む前の誤解

 立ち読みですぐに目に入る一文がコレです。


 自分はそういう系の話(中国の製品はどれも個人情報を盗む機能がある という偏見?!)は信じてもいなかったけど、なんとなくこう思ってる人も多い気がします。 でも、普通に凄い利益を上げている企業が一般人の情報を集めたところで何の得にもならないし、そんな不正が明らかになったらその企業はおしまいだとも思うので、基本的なところで「やるインセンティブが無い」とも思うんですけどね。

 あと1つ、「中国政府の後ろ盾を持っている企業」というイメージもあるかもしれないけれど、この本の中でもそれについて言及があります。 基本的にファーウェイでは全社員が政治的なコメントや活動はしてはいけないようです。 そういう活動をしたいときには辞職を要請するくらいの徹底ぶり。 創業者も注意深く中国政府との距離感を取っているようです。

 アメリカではAT&TでのHuawei製品の取り扱いを中止なんてこともあったけど、これはたぶん競合他社の横やりだとは思いますね。 単純にライバルはパイを奪われると思ったのでしょうね。

 とか言い過ぎると中国寄りの人間って思われたりするのかな?! そんなことは無いつもりだけど…。

創業者の(病的ともいっていいほどの?!)心配性

 これにビックリしました。 とにかく「いつこの会社は潰れるのか」ということを結構本気でいつでも心配しているようです。 あれだけの利益を出して有能な社員を大量に雇用して、各地に研究所等の施設を作りまくって15万人以上(HP参照すると現在 18万人)も従業員がいる企業のトップが、とにかく会社が潰れることを心配しているのは逆に恐ろしい気がします(これからもどんどん成長していきそうだな、って意味で)。

 あと、そういえばファーウェイの創業者って誰だっけ?と思ったのですが、メディアに出てこないですよね。 任 正非(じん せいひ)さん、Wikipedia を見てみると顔写真も出ているんですが、見た目は普通のオッサンですね(申し訳ありません)。 自分はてっきりスマホの発表会とかでよく出てくるオジサンが創業者の方なのかと思ってました(汗 たぶん自分は、リチャード・ユーCEOを創業者だと間違えていたっぽい)。
 任氏、とにかく凄い頭脳の持ち主であることは間違いないと思います。 ファーウェイから自分が追い出される心配までしてたりするけど、もちろんそれを超える自信も持ってるからトップに居続けているってことなんでしょうね。
 大企業のCEOになるような人はみんなそんな感じだけど、任正非さんも凄い読書家のようです(従業員にも読書を奨励している)。

未公開企業の強さ

 一般的にIT系の企業はどこも株式を上場しているので、とりあえず短期的にも利益を出しておかないといけないという気持ちが強くなるものなんだと思います。 株主に気を遣わないといけないというところで、本来その企業が追い求めたいことに素早く取り組めないなどの弊害もあるかもしれません。

 それに対して、ファーウェイの「未公開企業」ならではの「10年先、20年先を見据えた経営戦略」というのは今の時代にはとても大きなアドバンテージを得られるようにも思います。

 株式自体はあるので、それをどうしているのかな?と思ったら、従業員に配分しているんですね、コレが。 いわゆる「ストックオプション」に近い使い方をしているようで、いいとこ取りをしているのも上手いところかな、と思いました。

今の日本企業では勝てない、気がする

 とにかく企業の新陳代謝を常に行える仕組みだったり、ハードワークだったり、なんというか今の日本の企業だと出来そうにないことが、今の中国だからこそ丁度うまく出来ているようにも思います。 成果を出した従業員にはしっかり見返りがあったり、今の日本のメーカーは この組織に勝てないだろうなぁと思ってしまいました。
 IBM等のコンサルタントを依頼して欧米式の組織編成にもなっているようだし、うまい具合で効率性と人情のバランスを取ってる感じが絶妙なんですね。

オマケのオドロいた話

 2003年に一度、ファーウェイは「通信事業をモトローラに売却予定だった」というのは驚き! ここで売却してたら Lenovo (Motorola は現在 Lenovoグループなので)になってたかもしれないですね(苦笑)。

おわりに

 正直、この本の文章の流れが何度も「創業時から現在へ」を繰り返して、また同じようなこと言ってると思う部分もあるのですが、いろいろ興味深い内容もあるので、ファーウェイって名前は聞くけど どんな組織なんだろう?と思ったときに手に取ると良い一冊だと思います。






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